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カラテ物語 

Written by:  G.G. Oyama

Illustrated by:  木村僚佑

                           Ryou Kimura

第 11 章 JAPAN CUP 3

大会前最後の組手クラス金曜日の夜、先生が大会出場についての心構え、注意を稽古の後で話してくれた。

「大会は道場の組手と雰囲気がまったく違う。会場の横浜文化体育館は桁違いに大きく広い、その広さに先ず圧倒されてしまう。また今まで見た事のない連中が大勢いる。その連中が突いたり蹴ったりしているのを見て胸騒ぎが始まる。その雰囲気に呑まれて身体も気持ちも硬くなってしまう。まず会場の雰囲気に慣れなくてはいけない。慣れる為には身体を動かすことだ、汗をかくことで身体の硬さを先ず取る、大事なことだ。いいか、大会に出場することは、今からもう始まっていると思え!」何となくではあるが先生の話のポイントが分かる様な気がした。

以前ツトム先輩が「道場の組手と、大会の組手、ストリートファイトは全く違う・・・」と言っていた話が思い起された。

「お前達がドキドキしているのと同じように、相手もドキドキしている。相手はオバケじゃないだ、同じ人間だ。忘れるな。必ず試合前に汗を軽く流せ、身体を動かすと気持の硬さもとれる。拍子、テンポが乗ってくる。一番のミスは、他人の試合に見入ってしまう事だ。自分の身体をいつも温めておけ!他人の稽古を見ているだけでは身体の硬さはとれない。まず自分のことを考えろ!平常の気持ちを忘れるな!」

いよいよ大会、昨晩は正直に言ってよく眠れなかった。朝からドキドキして、朝食もなんか味がしなかったが、無理してトーストと目玉焼きを食べる。

先生が話してくれたように、一歩横浜文化体育館に入ったとたん、その広さ大きさに圧倒されてしまった。それに見た事がない人が多かった。みんな忙しく動いている。

誰がどこの先生か師範か全くわからない。

周りの喧騒に圧倒されてしまう。

 

真太郎先生が集合をかける。「忘れるなぁ今日まで頑張って来たんだ。晴れの舞台だ、大いに気合を入れて遺憾なく成果を発揮しろ。他人の事を気にせず自分の型、組手を忘れずに、頑張れ、出番の前に必ず汗をかけ、頭の中で考えるな、コーチの人や、父兄の人も話し込まないで生徒に身体を動かすようにしてください」

先生は何度も同じことを繰り返して話していた。先生の話が終わりみんな自分の出場するマットの方に動く。

僕は中学2~3年生の部であった。

 

型の部から始まった。僕が選んだ型は「基本その二」だったが、あまり自信がなかった。

何となく周りの人の目線や他の人の練習に気が向いてしまい何時のも道場の稽古の時のように身体が動かない。

付き添ってきた母親が「どんどん動きなさい」と言ってきた時、ツトム先輩が声をかけてくれた。「オイ、タケゾウなんの型を選んだんだ?」

「オス“基本その二”をやろうと思ってます」

「お前ね~、“基本その二”は後ろ蹴りの後、前屈立ちになり裏拳から正拳逆突きの動きが難しいから止めたほうが良いぞ・・・いいか先生も言ってただろう、型の場合、イメージを忘れるな、イメージだぁ、目の前に相手、敵がいると思って気合を入れろ」

ツトム先輩は僕にアドバイスしながら、なんか自分に言い聞かしているように感じた。

でも先輩のアドバイスで迷いがなくなって「“基本その三”をやります」と返事をする。「俺は“基本その五”をやることにした」と言いながら先輩が宙を睨んだ。

なんか歌舞伎役者のように見えた。

「本当は基本其の四をやりたかったんだけど、股関節を痛めてるので俺の得意技、横蹴りが今一つ鋭く蹴れないんだ、だから基本その五をやろうと思っているんだ」

僕が「股関節どうして痛めたんですか?」と聞くと「ちょっと蹴り過ぎたんだ」返事が返ってきた。

先輩が蹴り過ぎたのを僕は見た事がなかったが「先輩稽古すぎるんじゃないですか?」というとなぜか嬉しそうな顔を見せた。ツトム先輩ほんと憎めない人だと思った。

いつものようにツトム先輩の格好つけた話で身体の硬さがとれたように感じた。

 

大会役員の人が招集をかける。僕が出場する型の部は、15~6人だった。

見た事がない人ばかりだった。最初に型を演じたのはブルーベルトの女の子、福島支部からの出場だった。彼女は基本その二の型を選んで演じた。

前蹴り回し蹴り後ろ蹴りの流れが乱れなく綺麗に決まった。

身体が柔らかいのか連続して蹴る技が鋭く華麗で、バレー・ダンサーのように見えた。

次が僕の番だったので何となく萎縮してしまった。

母親が「タケゾウ気合」と励ましてれる。

マットに出ようとしたとき、いきなりツトム先輩が僕の肩を掴み「オイ、気合い、イメージ忘れるな」と言いながら僕の左の頬っぺたを“パチン”と張ってきた。

「エッ」と思ったが周りの人が笑い出した。

先輩も笑っていたので僕もつられて笑ってしまった。急に気が楽になった。

基本その三、上手くできた。気合も自然と大きく出た。

型の試合、僕は二番目の成績だった。終わっても気持ちが昂っていたが、ホッとした。

 

型の試合が終わった後すぐに組手の試合が始まる。手に汗をかいていた。

コーチは壮年部2段の関根さんがついてくれた。

16人出場していた。最初の試合、相手は姫路支部のチョット太り気味の人だった。

丸い顔の中、眼を細くして睨んできたので僕も額に皺を寄せて、睨んだ。

心臓が外に出て仕舞ったようにドキドキした。

主審の「始め」の合図に僕は直ぐに右回し蹴りを出すが相手が前に出てきたので蹴りが外れて僕はバランスを崩して後ろに倒れて仕舞った。主審の人に起こされて構える。

「タケゾウ、まわれ、まわれ」と誰かが叫んでいる。

「突いて蹴るんだ」と声が聞こえるのだが、右の回し蹴りしか出なかった。

「タケゾウ君、足の運び、動いて動いて、コンビネーション」中崎さんの声が聞こえた。なぜか他の人の声は誰なのか分からなかったが中崎さんの声は分かった。

気合いが入った。

左に回りながら左の突きを出す。そのまま右の回し蹴りで上段を狙ったが受けられる。

無意識のうちに右の回し蹴りだけがでた。夢中で蹴った。相手の子が受けたが、痛がっているように感じた。僕は続けてどんどん蹴った。相手の子が下がってマットの外に出てしまった。主審の人にマットの真ん中に戻される。始めの合図でまた僕は右の回し蹴りを出す。判定がくだったとき相手の子は泣いていた。僕の方に旗が上がる。嬉しかったが、相手の子が泣いているのでちょっと複雑な気持ちになる。

関根先輩が「タケゾウ良かったが、上段ばかり蹴らないで中段や下段も蹴れないといけないヨ、それと足の運びを忘れるな」「オス」と返事をするが僕はへとへとに疲れた。

道場では5分、4分、3分と組手試合の稽古しているんだが、大会の試合時間は2分なのに30分ぐらい戦った感じがする。息が苦しく、足が重く感じる。

二試合目も同じような試合内容になったが、前よりは相手の周りを動けた。

3回目の下段の回し蹴りが決まった時相手の子がマットの外に出て、ギブアップした。なんとなく僕は自信のようなものが湧いてくるのを感じた。三試合目は準決勝。

相手の子は横浜本部の子らしかったが、身体が僕より大きく背も高かった。

立ち会ったとき相手の子が薄笑いをしているように見えた。なんか自信満々の顔付をしている。よし、僕の得意な右の回し蹴りで痛めてやると気合が入る。

始まると相手の子は前に前に出てくる。大きな体に僕は圧倒されてしまい、右の回し蹴りを出しても態勢を崩されてしまい何回も後ろにとばされる。焦ってしまった。

息が苦しくなり急に身体が重く感じられる。

相手は前に出ながらガンガン正拳を出してくる。受けるのだがそのまま押されてしまう。「ターイム」との合図、僕なす術もなく負けてしまった。

二勝一敗、大会初出場での僕の成績だ。全敗じゃなくてよかった。最後の試合は負けてしまったがそれほど悔しく思わなかった。経験を積めばきっと勝てると思った。

不思議な気持ちだ。ツトム先輩は型で3位になった。

僕の前では1位になれず、残念がっていたが、会場の隅で首に下げたメダルを撫ぜながら見入っている姿は、口惜しさは微塵も見えなく嬉しそうに見えた。

朝から始まった大会は午後1時ごろ全ての部の予選が終わり休憩を挟んで2時半から決勝戦が始まった。

高校生の部で竜馬先輩が決勝に出る。相手は山口支部大河武、高二でやはり黒帯だった。

細い身体の竜馬先輩とは対照的に首も太く、見るからにウエイト・トレーニングをやっているような大きな身体、坊主頭で荒々しい雰囲気を出している。

試合前にマットで開脚をしていたが両足が180度ぴったりと開いていた。

柔軟な身体を見せながら、突然片腕で腕立て伏せを始めた。

ひくく唸る様な声を漏らしながら、右左と続けて片手で拳立伏せを見せた後、立ちあがり、竜馬先輩を睨むように見つめながら今度は前蹴上を続けて左右と角度を変えて蹴り始める。ブンブンと音が聞こえる様に速かった。

近くの観客席からオゥ~と歓声が聞こえた。

僕の試合ではないのにすごく緊張してしまった。

ツトム先輩も眼が吊りあがり、口を大きく開けて見とれていた。

マットの上の竜馬先輩は天井を見たり、なにか歌を唄っているような感じで軽く動いて相手の人を無視しているように見えた。

主審が両者にルールの注意を説明している時も相手の選手は竜馬先輩を睨んでいたが、竜馬先輩はマットを見たり、主審の顔を見たりして相手の気合を外していた。

「初め」と号令をかける。

「オゥ~」と気合を発しながら大河が正拳の連打から下段を蹴ってきた。

竜馬先輩、相手の左に回り込みながら外す。うまいと思った。

山口支部の人達が「タケ、タケ~押せ押せ~」と凄い声援をしている。

コーチの関根先輩が「まわって、一」と指示を飛ばす。

竜馬先輩まわりこみながら、両腕、両肩を振りながら調子をとっている。

僕はいつも竜馬先輩と組手をすると、あの動きに惑わされて調子が狂ってしまう。

相手の子が前に前に出てくるんだが、竜馬先輩ステップを上手く使って的を外している。関根先輩が「あと一分、一から三と続けろ~」と合図をする。

その時僕たちが応援している横から「竜馬~、一から三」という澄んだ声が響いた。

中崎さんが立ち上って両手を口に持っていきながら声援を送っていた。

「エッ!」と思った。僕は大会の雰囲気に呑まれて大きな声で声援が出来なかった。

中崎さん凄いな、と思ったが同時にけた気持ちが湧いてくるのを抑えられなかった。

試合は大河さんが前に前に出て突きから下段、時々後ろ回し蹴りを出して場内を沸かしていた。竜馬先輩も突きから下段、外回しで顔面を狙う。両者一進一退で時間。

審判は引き分け、延長戦に入る。両方の応援が熱をおびてくる。

関根先輩が竜馬先輩にアドバイスをしていると中崎さんが水のボトルを差し出す。

竜馬先輩笑みを浮かべて口にする。僕はまたけた。

でも竜馬先輩に勝ってもらいたかった。

延長が始まって向かいあう。竜馬先輩、視線を大河さんに向けていた。

本戦と違った気合を見せているように感じた。

「始め」の主審の合図に大河さんが前に出ながら突きの連打を出してくる。

竜馬先輩相手の動き合して下がる。

相手が突きから回し蹴りを出す瞬間、竜馬先輩が前に飛び込むように出ながら諸手突きを出した。大河さんが後ろに大きく飛んで倒れる。

スローモーションのように僕は見えた。諸手突きは道場で型の稽古の時に見たことがあるが、組手では使っている人を見た事がなかった。

一度真太郎先生が回し蹴りは身体が開く、蹴る瞬間を相手に攻められると身体が浮いて倒される。諸手突きが決まれば大きく相手は後ろに倒されてしまう。

そんなことを稽古中に話していたがあまり気に留めている人はいなかったように見えた。竜馬先輩の諸手突き気合が入っていた。副審の旗が竜馬先輩にあがる。

格好良かった。知らない内に中崎さんを見ると、立ち上がって喜んでいた。

「ウ~ン」と思った。でも竜馬先輩が勝ったので僕もうれしかった。

大会最後は、ノックダウン重量級試合だった。真太郎先生が決勝に出る。相手は横浜本部の黒帯の人だった。背も高く、強そうな顔つきをしていた。睨まれたら思わず下を向いてしまうだろうと思った。試合前から場内の熱気を感じる。胸が震える。

続く

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