Contact Us
CONTACT US
ADDRESS

1804 29th Avenue South
Birmingham, AL 35209

oyama@worldoyama.com

Tel: 205-879-4841

  • Facebook Social Icon
FIND US

© 2019 by World Oyama Karate, Inc.

カラテ物語 

Written by:  G.G. Oyama

Illustrated by:  木村僚佑

                           Ryou Kimura

第 12 章 JAPAN CUP 4

夜の部が始まった。

マットの横で真太郎先生が軽くステップを弾ましている。

先生の顔色からは緊張しているようには見えなかった。

何か試合のイメージをしているように僕には見える。

勿論どんなイメージをしているのか僕には分らないが、きっと稽古をしてきたコンビネーションを確認しているのかも知れない。

場内アナウンサーの女性の声が静かな会場に響く。

名前を呼ばれた真太郎先生が大きく両拳を挙げて「オイシャー」と気合を入れる。

先生の気合に僕の身体が震えた。先生がいつもより何故か大きく見えた。

相手の人も大きな気合を入れてマットに出る。場内が騒然となる。

場内の中央にセットされた試合用のマットが広く明るく見える。

 

主審の人が両者を呼ぶ。

自分が試合をする訳ではないのに僕の身体が震え続ける。震えを止められない。

横を見るとツトム先輩もなぜか唸っている。

右手の拳を小刻みに震わせながら「オシヤ、オイヤ・・・」と潰いやいている。

一瞬ツトム先輩が試合をするのでは、・・・と思ってしまった。

久美子さんも大きな瞳を輝かして両手を力強く握っている。

竜馬先輩は睨むような目線をマットに向け、口を一文字に結んで立っている。

会場全体がピーンと糸が張った様な緊張感に包まれているように感じた。

観客全員が興奮している。相手は先生より頭一つぐらい背が高かった。

身体もちょっと大きく見え、丸い顔の中、眼だけが光っているように見える

真太郎先生の面長な顔が紅潮している。

主審が二人の顔を見つめながら「顔面、金的、掴み・・・」等と試合の注意事項を説明している。先生の顔色は静かだったが相手は眉を吊り上げて睨むように主審と真太郎先生を見つめている。

 

主審の「初め」の声が両方の応援でよく聞こえなかった。

主審が中腰になって両者を見つめながら動き出す。

先生はいつもの様に両肩を揺すりながら軽いステップをしながら間合いを遠くとる。

相手が前に前に出てくる。先生がさがりながらマットを回りこむ。

僕には相手がどんどん大きくなっていくように見える。

さがっていた先生が急に、間合いを詰めて左右の正拳を繰り出す。

相手が受けながら下段を狙って蹴りを出してくる。

その蹴りがヒットしてしまった。

相手側の人達が総立ちになって「野上先輩行け~!行け~!」「今の下段効いてます・・続けて下段、下段!」と叫んでいる。

僕は心臓が締め付けられるように感じた。

ツトム先輩がそんな僕を見て、「おまえね~、先生はあんな下段、100発貰ってもダメージはない。鋼の脚だ!まだ始まったばかりだ・・」

先生はツトム先輩が言うように相手の下段を貰っても顔色が変わらなかった。

相手が先に突きからまた下段に出てくる。先生がちょっと回り込みながら受けて左の後ろ回し蹴り、バックスピンキックを上段にだす。紙一重のところでかわされる。

ツトム先輩も久美子さん竜馬先輩も一瞬立ちあがる。

僕もアッ、と思った。先生の後ろ回し蹴り、凄い技だ。マットの中央で両者がぶつかる。

正拳のヒットする音が「ビシ、ビシ、バシン、バシン」と響く。相打ちが凄い。

二人の正拳を僕がもし貰ったらすぐ病院に運ばれるだろう、とバカな想像した。

それほど力強く感じた。二人とも気合を入れながら打ち合っている。

二人が炎を出して燃えているように見える。

先生の正拳がヒット、相手も正拳で反撃する。お互いの胸に腹に拳が食い込む。

相手が下段の蹴りから顔面に続けて蹴りを出す。

先生が受けながら構えた前足の左を鋭く交差して相手の脇腹に回し蹴りを出す。

決まったように見えた。「ブッス」鈍い音が聞こえたが相手は態勢を崩していない。

先生が続けて二度目の蹴りを出す。

相手がその蹴りに合して左の突き、先生が後ろに態勢を崩す。

崩れた先生の左顎に大きな膝が飛んでる。

アッと思って僕は目を瞑ってしまった。ツトム先輩が僕の頭を平手で叩く。

眼を開けると先生は倒れていなかった。

凄い試合になった。先生のコーチの人があと1分と声をかける。先生が前に出ながら左右と正拳を出す。相手も正拳を出す。相打ちなる。

先生が右の外受けを使い相手の左腕を押し込むようにしながら、相手の右側に変わり、右足の外回し蹴りを上段に出す。

先生の右足が相手の左顔面を浅くヒット、続けて先生が左ひざ蹴りを出すがステップでかわされる。先生がひざ蹴りを出した時、相手の右肩を掴んでいるように見えた。

三人の副審が旗を立ててホイッスルを鳴らす。

主審が二人を分け、マサ先生に「掴み注意」と右手の指を顔面に向けて告げ、「始め」号令をかける。主審の合図と同時に、サット相手が間合を詰め正拳の連打から右の下段回し蹴りを出す。いや出したと僕には見えたのだが、その下段蹴りはフェイクだった。先生が左の膝を上げて受ける態勢に入った。先生の構えがいくらか開き気味になる。

その瞬間、相手の左後ろ蹴りが先生の胸の高さに飛んできた。

アッ、とまた僕の心臓が締まる。

何とか受けたが先生の身体が後ろに大きく崩れた。凄い後ろ蹴りだと思った。

相手側の応援席の人達が総立ちになる。

先生がマットの中に入りながら苦笑いのような表情を見せた。

二人はまた主審の合図に、身体が触れるぐらいの間合いから突き合いを始めた。

主審が「やめ~、やめい~」と二人を分ける。

コーチの人があと「30」と叫ぶ。主審がさがると同時に二人がまたぶつかる。

相手が叫ぶような気合を入れて突きのラッシュをしてきた。

先生もガンガンと突きを出す。黄色の砂袋がマットに投げ込まれる。

主審が「ヤメー、ヤメーイ」と叫ぶように声を掛けながら二人の間に入る。

マットの真ん中で先生が鋭い目線を相手に向けて「オイシャー」と気合を入れる。

相手も胸を張り、先生を睨みながら「オイヤー」と気合を返す。

格好いい!二人のサムライがそこに立っていた。

 

僕はどちらが勝ったか全くわからなかった。ただ心臓がドンドンと音をたてていた。

主審がマットの端に下がりながら副審に先生の方が赤、相手が白と手で示す。

一瞬場内が静まる。主審の「判定~!」

という声と同時に赤旗が二本、白旗が二本が挙がる。

場内が「オウ~」と言う。溜息のような歓声が上がる。

主審が「赤二本、白二本、主審引き分け」と鋭い声を発しながら、両腕を前で交差して引き分けと宣する。

そのままマットの中央に出て、タイム係の人に「延長2分」指示をする。

同時に両方から大きな声援が始まる。

僕も我を忘れて「先生がん頑張ってください!」と叫ぶ。

延長戦が始まる。また同じような試合展開になった。

近い間合いから激しい突きの応酬が続く。

先生のコーチの人が「あと1分、決めましょう」と何か合図をする。

先生が突きから右の回し蹴りを、獣が猛り狂ったような、叫ぶような気合を入れながら相手の下段中段に多用始める。相手は気合を返しながら反撃をする。壮絶な試合。

僕の身体が熱くなり、何とも言えない感激が僕の身体を包む。

二人がもつれる様になりながら場外に出る。

主審が二人をマットの中央に戻し「構えて、サーいこう!」と号令をかける。

先生が主審の合図が終わるや否や、さっと間合いを詰めて「オリヤー」と大きな気合い入れながら左の正拳、右の下段回し蹴りを出した。

僕には先生の右ひざが、回し蹴りの角度に引き付けられて、先生の気合に乗って鋭く蹴り込まれたように見えた。

先生は蹴り足を蹴らずに、そのまま相手の右足の方に踏み込み、身体が触れる間合いから左の内回し蹴りを出した。

ツトム先輩が「オッ、回転内回しだ!・・・」と叫んだ。

先生の左足がスローモーションのように綺麗な円を描きながら相手の右顎に決まる。

相手の膝が崩れる様に落ちて、そのまま後ろにゆっくりと倒れた。

一瞬場内が静まり、次に大きな歓声が場内を渦巻く。

僕の身体に稲妻が走った。凄い!先生が巨人に見えた。

身体の震えが止まらない。言葉では表現できない感激が僕の身体を包む。

主審と副審が倒れた相手をゆっくりと立たせる。

両腕を支えながら主審がなにか話しかけている。

ドクターがマットに上がり相手の顎をチェックして、主審に何か話していた。

主審が頷く、相手はちょっと首をふりながら微笑を浮かべ先生と握手する。

二人が立っている試合場のマット中二人が輝いて見えた。素晴らしい絵に見えた。

二人の獣の猛り狂ったような、壮絶な戦いが済んで、後には清々しいお互いの健闘をたたえ合う友情が僕には見えた。

いままでこんなに感激したことが僕にはなかった。

何となく先生のこの決勝戦は僕の人生にとって大きな出発点になる様な気がした。

カラテ道の世界は果たして僕が覗けるのか、僕がその世界に旅立っていいのか僕には分らないし自信もない。

でも確かに言えることはいま、僕がカラテの世界に入れなければ何か大きなもの失うのではないか、自分の人生で大切なものを落としてしまうような気がする。

カラテの世界に入ることで僕は新しい自分を発見できるのではないかと思った。

僕の父親もきっとそのことを願っていたんだと、心の底に感じた。

続く{来春}

 

PS カラテ物語は今回の第12章でまず第一部を終わります。来春から第二部が始まります。武蔵{タケゾウ}がいよいよカラテ道の世界にどっぷりと浸かり自分の世界に挑戦していくようです。他流派との交流、勝負、久美子との淡い恋、ライバル竜馬との戦いと友情、私もさらに熱を入れて頑張ります。こうご期待です。オス

***DOJO SPOTLIGHT***

NERIMA DOJO

東京練馬支部

住所:〒179-0081

東京都練馬区北町1-42-1

師範:高橋 真次

電話:03-3550-1119

メール:dojo@worldoyamatokyo.com

東京練馬支部 江古田道場

住所:〒176-0012

東京都練馬区豊玉北1-9-1-105

師範:高橋 真次

電話:03-6914-7788

メール:dojo@worldoyamatokyo.com

***DOJO SPOTLIGHT***

HIMEJI DOJO

兵庫支部 山本道場

住所:〒670-0054 兵庫県姫路市南今宿7丁目17

稽古1:姫路道場

稽古2:新宮武道場

稽古3:たつの青少年会館

師範:山本 秀文

電話:0792-99-3421