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カラテ物語 

Written by:  G.G. Oyama

Illustrated by:  木村僚佑

                           Ryou Kimura

第 8 章 コンデション

朝5時、いつもと同じ時間なのに朝の明け方が遅くなっているように感じる。

朝トレを始めたころは、一歩外に出ると前夜の暑熱が身体にまとってきたが、近頃はいくらかだがひんやりした冷気が感じられる。夏がそろそろ終わるのか。

最近は空気が乾いているせいか身体が軽く感じる。ランニングの拍子も自然と弾む。

朝のランニング、真太郎先生のアドバイス「まず自分のコンデションを整えろ、そこからランニングにイメージを入れて走ると良い。タケゾウはマラソンの選手になるために走っているんじゃないからな。相手が眼の前にいると思い、突いたり蹴ったりいろいろとイメージをもって走れ」何時ものようにジェスチャーを入れながら話してくれた。

僕が「先生も毎朝ランニングしているんですか?」と聞くと「おう~、今年はチャンピオンを狙うから最近走り出したよ、技があっても、スタミナがなければ話にならないからな」走りながら先生とのそんな会話が浮かんできた。

 

・・・始めのうちは本当にきつかった。

寝る前に明日の朝5時起床と思うと、直ぐに止めろ、サボレ、サボレと囁きが聞こえた。

先生が「始めから3キロ、5キロ走らなければいけないと考えず。見える所、あのパン屋、あの信号、あの街角と目標を決めて、まずそこまで絶対に走る。そこからまた次の目標を見つけて走れ・・・3キロ、5キロは胸の内にそっと隠しておけ、手の届く、眼の届くところを目標に走るといい・・・とにかく続けろ」先生の言う通り走った。

今はそれほど苦にならい、最初から5キロと決めて走る。

それでもスタートした後2~3分はまだきつく感じるが、それを過ぎると、身体に弾みが出てくる。両足にリズムが乗ってくる。腕の振りも自然に力強くなった。

自分の身体が変わってきたように思う。腕も脚も、力がついてきたように感じる。

家から出て、城北公園まで最初の週は26分ぐらいかかったが、今は20分切れる。

公園について軽く柔軟をして、前蹴上、横蹴上を右左50本ずつこなす。

先生が「タケゾウ、お前のカラテを大きくするためには技の前の力、速さを鍛えろ、良いか直ぐに技に走らないでその技の基、その基の基礎体力を練れ・・・上体のリードで両脚、身体全体のバネを生かして蹴り足が唸るように蹴り上げだ。横蹴上も同じだ・・・みんな見た目の派手な技に気が向くが地味な技、立の稽古が力強いカラテをつくり上げる。前蹴上、横蹴上が蹴り技の基になる。忘れるな!励め!」と話してくれた。

正直に言って、前蹴上、横蹴上は気合が入りにくい。

実戦組手に使える技と言うより、基礎体力の動きに見えるのでエキサイトがない。

自分に気合を入れないと、ささやきが出てきて誤魔化してしまう。「押忍」である。

 

公園に3回目に来た時、隅の方に欅、樫木が3本ぐらい密集しているスポットがあった。お爺さんやお婆さん達に見えにくい場所、僕の秘密の道場である。

スクワットや腕立て伏、腹筋をそこでやることにしている。

始めの朝は腕立て伏せ10回も出来なかったのが、今は軽く20回、間に腹筋を入れてまた腕立て伏せに戻る。2回目は50回やる。苦しくなってきたときは、竜馬先輩を考える。先生が「稽古していて苦しくなってきたリ、あきらめが出てきたら自分のライバルを目の前に出せ、必ず気合が戻る。相手も同じ人間、腕も二本脚も二本オバケじゃないんだ、ライバルをつくれ、竜馬なんかタケゾウにとっていいライバルになるぞ・・・」なんか先生は僕が竜馬先輩のこと秘かにライバルにしている事を知っているようだ。

先生の言う通リ、竜馬先輩を想像すると不思議と力が出てくる。

負けたくない。早く追いつきたい。

「竜馬先輩いくぞー、オイシャー」と気合い入れる。

また腹筋、腕立て伏せを続ける。必ず誤魔化さずに100回はやる。

自分の身体が変わってきている。強くなっているのが感じられる。

身体のそこから、ふつふつと力が浮かんでくる感じがする。

教室で慎吾や公次にいつも驚かされビクビクしていた僕が5キロも早朝に走り、腕立て伏せを100回も出来るようになるとは想像もしていなかった事である。

 

帰りは途中でダッシュを入れる。軽くランニングで流す。またダッシュを入れる。

肺や心臓が破裂しそうになる。酸欠、息が苦しくなってくる。

はっきりとは意識できないが、苦しい息の中に力が付いて来ていることが感じられる。ダッシュの後は意識して腰を落とし、両腕を顎の横に脇を絞るように構え前に出る。

竜馬先輩との間合いを詰め、プレシャーをかけて先に突かせ、蹴らせる。

そこを受けて崩し、得意の右の上段回し蹴りを決める。

イメージがどんどん膨らんでいく。心が躍る。

今まで全く見た事、想像もしなかった世界が自分の眼の前に大きく開けた感じがする。

母親も僕がここまで頑張るとは思っていなかったようだ。

毎日がチャレンジだと先生が言っていたことが身体で感じられた。

 

あっという間に夏休みが終わった。

朝トレの後は、練馬区の図書館と道場を行き来した夏だった。

毎日が単調な生活だったが僕は今までのどの夏休みより充実していたように感じた。

クラスメートとは時々街中ですれ違ったり、図書館で顔を合わしたりしたが殆ど逢わなかったし、メールのやりとりもしなかった。

中崎久美子さんは夏休み中一度も道場に来なかった。

アメリカにホームステイしていたとか、そんな噂が耳に入ってきだけだった。

夏休み明けの最初の登校日、何となく胸がドキドキした。

僕の身体が変わっていることにみんな気が付くだろうか、慎吾や公次それに中崎さん。僕はいつもと変わらいように自分の気持ちをたもとうと思った。

教室に入ると真っ先に中崎さんが眼に入った。ドキッとした。

中崎さんは一段と美しくなっていた。

髪の毛を後ろに縛るポニーテールにしていたので、よけい彼女の卵型の細い顔が際立って見える。透き通るような白い顔色だったのがすこし陽に焼けて見える。

ツンと上を向いた形のいい鼻、いくら眼尻が上がって勝気そうに見える大きな瞳、相変わらず周りに、光を放つように輝いている。

背も休み前より伸びているようだし、身体にふくらみが出て大人の女性ように見えた。

僕は出来るだけクールに2~3の友人と「元気、とか海に行った」とか簡単な会話をかわして、中崎さんを見ないようにした。

でも僕の気は中崎さんの方に向いていってしまい胸の中の動機はおさまらなかった。

僕がちょうど椅子に座ろうとしたとき中崎さんが僕の方に向かってくるのが分かった。

「タケゾウ君、なんか身体が大きくなったみたい」と言いながら中崎さんが僕の顔を覗き込む。僕の顔色が真っ赤になるのが分かった。

「凄い、タケゾウ君頑張っているんだ」と言った後、僕に身体を寄せてきながら小さい声で「稽古しているの?」と聞いてきた。

甘い香りが僕の身体を包み、僕を天国に運んでしまう。

「オイヤー」と気合が出かかってしまった。

「図書館と道場だけで今年の夏が終わってしまった」と返事をする。「そう~、根性だね」と言って、クスクスと忍び笑いをした。「中崎さんどこに行っていたの?」と聞くと「アメリカにいる兄のところに母親と行っていたの」「そう、アメリカのどこ?」「深南部のアラバマ、東京やNYと比べると田舎だけど良いとこよ、アメリカの良さがまだ残っている感じ」中崎さんは全く違った人間になっているように感じた。

 

ざわざわしていた教室に先生が来た。

みんな席に着く。僕の席は前から4列目の窓側。

先生が学期始めの話を始める。文化祭とか高校の受験とかいろいろ。

みんな先生の話が早く終わってほしい様な態度だった。

僕も同じ思いだったが、先生の話中、誰かが僕をじっと見ているような感じがした。

ふっとその視線の方に顔を向けると、中崎さんが慌てたように視線を外すのが見えた。

エッ!と思って僕もあわてて前を向く。

彼女の席は斜め後ろの6列目、その右横に慎吾と公次が座っている。

僕がもう一度振り返ると、中崎さんが綺麗な微笑を向けてくれた。

マジカ~と思った時、右横の慎吾と公次が嘲笑している顔が見えた。

二人は何か囁き合って薄笑いをしながら、憎たらしい目線を僕に送ってきた

中崎さんの視線に嬉しくなって舞い上がっていた気分が壊れ、無性に腹が立った。

慎吾の視線にはまだ緊張するが、前よりは恐怖心が湧きあがってこなかった。

奴の身体は僕より大きかったが名古屋から来た虎男さんの様に鍛えた筋肉の塊のようには全然見えなかった。きっと夏休み中ただ遊んでばかりいたんだろうと思った。

公次が格好つけて睨んできたが、僕は鼻で笑えた。

心の中で俺の右の回し蹴り、見せてやろうか・・・と思った。

お決まりの先生の話が終わり教室から出る時、中崎さんが話かけてきた。

「タケゾウ君稽古に燃えているんだ。7月の終わりごろ名古屋支部からキン肉マンみたいな虎男さんと言う人が稽古にきたんだって、竜馬先輩からメールもらったよ。組手やったらしいね・・・タケゾウ君根性あると竜馬先輩言っていたよ・・・」いきなり中崎さんが竜馬先輩の名前と、メールのやり取りをしているような話をしだしたので、一瞬なんの話か分からなかったが、次に頭をバットで殴られたように感じた。

そーなんだ、中崎さんは竜馬先輩と付き合っているのか、僕は自分の勝手な思い込みに自己嫌悪に陥った。俺はまったくのバカだと思ってしまった。

自分で顔色が変わってしまったのが分かった。

「タケゾウ君どうしたの、顔色が悪いよ」中崎さんの声が遠くから聞こえた。

めまいと冷や汗が出た。深く息を吸って胸の動悸を抑える。

やっと気持ちが落ち着いてきたとき、突然後ろから頭を叩かれた。

慎吾と公次が「なに、いちゃついてんだぁ、ボケ」と言いながら笑って通り過ぎた。

中崎さんが「慎吾君、バカな事しないで」と言って二人を睨む。

慎吾が廊下の端で振り返り「久美子そんな恐い顔で睨むなよ、オゥ~、恐い、恐い」とおどけて公次と一緒に笑い出す。その場にいたクラスメートも薄笑いをしていた。

僕は身体中の血が逆流して眼の前が真っ赤に見えてきた。

「お前らなに笑ってるんだ!馬鹿野郎」と僕は慎吾と公次に怒鳴った。

中崎さんが驚いて僕から離れる。

慎吾と公次が「なにー」と怒鳴り返しながら、迫ってきた。僕の身体が震えていた。

「おまえ、ボケまた柔道の稽古教えたるか!」慎吾が左手で僕の右肩を掴みに来る。

僕の左正拳が慎吾の鼻にヒットした。その後、右、左と正拳が続けて出た。

“アッ”と叫びながら慎吾が顔を両手でカバーする、指の間から血が流れだす。

慎吾がうずくまる前に僕は右の膝蹴りを脇腹に決めた。

慎吾の体が後ろに大きく飛んだ。公次も中崎さんビックリして動けなかった。

僕は公次を睨みながら「お前~、やるか!」というと公次が「スミマセン」と謝った。

その場に居合わせた人たちは、余りにも衝撃的な僕の変わりようにショックを受けて動けなかったようだ。僕は後も見ずにその場を離れた。

いずれ慎吾や公次とは対決すると思っていたが、何となく後味が悪く感じた。

真太郎先生から教わっている正拳の型と膝蹴りが自然にでた。

いつもクラスの中で威張り散らしている慎吾と公次だが、チョットやり過ぎた気がした。

歩きながら中崎さんが僕の事をどう思っているか頭が痛くなった。

それに真太郎先生が学校で喧嘩したことをどう思うか、誰かが先生に今日の事件を話す前に僕がこのまま道場に行って先生に話そうと思った。足取りが重く感じる。

続く

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